日本は古来より、山には神がすむと信じられてきました。
私たちは山に登って改めてこのことを実感することになります。
なぜならどの山に登っても必ずと言って良いほど、その山頂には祠を見ることができるからです。
日本の山は本場ヨーロッパアルプスが登られる遥か昔、1000年以上も前から登られていました。
ただしそれは余暇としての登山ではなく信仰の対象、すなわち修験の山としてのぼられていたのです。
中でも「日本アルプス」に位置する立山や御嶽山は、富士山同様に霊山としての信仰を集め、江戸時代中期以降、数多くの庶民がその信仰のために登拝に訪れるようになりました。
そういった山岳信仰は今も脈々として続いています。富山県の立山山麓にある「立山博物館」や芦峅寺(あしくらじ)へ行くとその当時の庶民の山岳信仰を垣間見ることができます。
中でも1996年、約130年ぶりに復元された、芦峅寺の「布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)」という儀式は、日本人の山に対する畏敬がいかに深いものであったかを教えられます。
立山は当時登拝をすると極楽に行けるということで庶民の信仰が盛んだったわけですが、どこの霊山も昔は女人禁制、女性は山に入ることすらできなかったのです。
そこで女性たちのために立山に登拝をしなくても同じようにご利益が得られ極楽浄土に行けるとされた女性救済の儀式が行われていたのです。
(富山県 立山町)
山と信仰を結ぶ日本ならではの風景がそこにはあります。